糸島まごころ葬儀羅漢の竹島と申します。

鳥羽一郎と山川豊が兄弟である事は周知のことですが、前回の投稿、通夜の光景「兄弟酒」によって、どうしても思い出される友がいる…

私が葬儀の仕事に就いたのは、もう充分に中年と呼ばれる年の頃でした。
そして、初めて飛び込んだ葬儀業界で右も左もわからない私に、私よりずっと若い先輩が、何故かなにかと声をかけてくれ、戸惑う私に葬儀のイロハを教えてくれたのでした。

お互いに気があって、飲みにも行くようにもなりました。飲んで私が寒いギャグを飛ばすと、
「オヤジィー」とつっこんでくれたりしました

私が鳥羽一郎を真似て声を張り上げると、
「やけくそで唄ってない？」と背中を叩いたりしました。そして、彼の十八番（おはこ）が、
山川豊の「アメリカ橋」だったのです。
「二番、唄って」と、自らのマイクを渡すこともしばしばでした。おかげで「アメリカ橋」は
私のレパートリーに加わったのでした。

そんな中でも時折、真剣な顔をして、遅くやってきた葬祭ディレクターのために、アドバイスをくれました。その頃はまだ、ご遺族様の悲しみを癒やすグリーフケアのことは、葬祭業界にそれほど浸透はしていなかったようでしたが
「ご遺族の思いに、どう寄り添うことが出来るかが大事だと思うよ」と。

…なのに、彼は若くしてこの世を去った。
それは世間よりも早く「千の風になって」が葬儀業界で静かなブームになり始めた頃でした。
そして今は、私の方が彼よりも長くこの仕事を続けている。

「葬儀は究極のサービス業だと思うよ」
そう言った彼を私は越す事が出来ただろうか。

「アメリカ橋」を聴くたびに、いつも彼のことを思い出す。